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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁
先頃まで博物館の特別陳列室に出陳されていた重要文化財「枯木鳴鵙図」の一梢頭に描かれている鵙の姿から、観者が直視してうけるものは、画の巧拙や水墨の溌色ではない。禅機である。
武蔵の書に、横ものの幅に、
直指人心
と書いた四字二行の遺墨があるが、その語そのままな鋭い澄明な眼が、あの鵙の画にもある気がある。
「闘鶏図」にもその禅境がある。野鴨の図でも布袋図でも、武蔵の画にはどこか禅味がただよっている。或る意味では、彼の作画は「禅画」とも云いえられる。画人的な構想や要意から作られた画でなく、禅的な心境からむしろ不要意に生れ出たといったほうが、中っておりはしないだろうか。
近頃、俄然といっていい程に、彼の遺墨――殊にその画が世人から注目され出した。「枯木鳴鵙図」が重要文化財に指定されたのも、つい四、五年前のことである。美術批評家や鑑賞家の間にも、にわかに、彼の画について、論評や詮議がやかましくなったようである。
では、武蔵はいったい、禅はたれに学び、画系は何派に属するものか。
生涯、彼が心を潜ませた方面においてすら、誰の門をたたいたか、誰と道契があったか、彼と禅家との交渉さえ、一字一行の文献さえ見出されない。