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ずいひつ しほんたいへいき

随筆 私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 私本太平記(ずいひつ しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,947 字 · 114 頁

青空文庫

そこへ私たち一行が行ったので、寺を困らせてやれとばかり、私たちが通った直後、部落総出で、村道から寺までの半キロほどな一本道に草根や石コロを敷きつめ、ご苦労さんにも突貫作業の短時間にこの悪道路をこしらえ上げていたものらしい。

――これで寺はミソをつける、ざまを見やがれと、復讐の溜飲をさげたのだろうが、ヒドい目にあったのは寺ではなく、私たちの一行だった。狐にツマまれたような感で「さすがに狐塚のある道誉寺だ」と、昼狐の悪戯をおかしがったが、しかし、おかげで京都着は、すっかり晩になってしまった。

翌十八日、快晴。京都柊家を朝の九時発。

K氏は前夜のうちに名古屋へ帰った。京都支局長のA氏が代って参加する。前日の空腹にこりたので、今日は車の中に菓子やミカンなど入れておく。きのう以上な長距離と山間コースばかりである。二十万分ノ一地図を見てまず覚悟から先へしておく。

桂から沓掛、老ノ坂隧道――丹波篠村――千代川、薗部、観音峠――須知町、山家、綾部――そして舞鶴線に沿って、梅迫、上杉

といった昔の山陰道なのだ。日本横断ぐらいな距離がある。これを一日で京都から往って復って来るのだからたいへんでないことはない。