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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,438 字 · 238 頁

青空文庫

二

そうして、身も痩せるばかりの果敢ない、遣瀬ない思いに悩みつづけているのであった。

二

吉左衛門夫婦はさらに姉娘のおそよを呼出して詮議すると、妹がもういっさいを白状してしまったのであるから、姉も今更つつみ隠すことは出来なかった。おそよも親たちの前で正直に何もかも打明けたが、その申口はおつぎとちっとも変らないので、吉左衛門夫婦ももう疑う余地はなかった。念のために夫婦はその夜ふけに井戸をのぞきに行ったが、姉妹の父母の眼にはなんにも映らなかった。

「この井戸の底に何か怪しい物が棲んでいて、娘たちをまどわすに相違ない。底をさらってあらためてみろ。」と、吉左衛門は命令した。

師走のなかばではあるが、きょうは朝からうららかに晴れた日で、どこかで笹鳴きのうぐいすの声もきこえた。男女の奉公人がほとんど総がかりで、朝の五つ(午前八時)頃から井戸さらいをはじめたが、水はなかなか汲みほせそうもなかった。

由井の屋敷内には幾カ所の井戸があるが、この井戸はそのなかでも最も古いもので、由井の先祖が初めてここに移住した頃から、すでに井戸の形をなしていたというのであるから、遠い昔の人が掘ったものに相違ない。