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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,438 字 · 238 頁

青空文庫

つまり今日のモデルといったわけです。前にも申した通り、黒太夫の家にはたくさんの馬が飼ってある。その中から裕慶は白鹿毛の大きい馬を選び出しました。そこで、その綱を取っている者は誰にしたらいいかという詮議になると、祐慶は大勢の馬飼いのうちから捨松というのを選びました。

捨松はことし十五の少年で、赤児のときに龍神の社の前に捨ててあったのを黒太夫の家で拾いあげて、捨て子であるから捨松という名をつけて、今日まで育てて来たので、ほんとうの子飼いの奉公人です。そういうわけで、親もわからない、身許も判らない人間ですから、黒太夫も不憫を加えて召使っている。当人も一生懸命に働いている。また不思議にこの捨松は馬をあつかうことが上手で、まだ年もいかない癖に、どんな悍の強い馬でも見ごとに鎮めるというので、大勢の馬飼のなかでも褒め者になっている。それらの事情から祐慶もかれを選定することになったのかも知れません。いずれにしても、青年の仏師は少年の馬飼と白鹿毛の馬とをモデルにして、いよいよかの木馬の製作に取りかかったのは、旧暦の七月の末、ここらではもうすっかりと秋らしくなった頃でした。