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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選(ひだのかいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,271 字 · 263 頁
重兵衛 むむ。おれもそう思っていたのだ。何も怖い物は出やあしめえと思うけれど、なにしろ山の中の夜道は不用心で、足を一つ踏みはずしても大変だ。(旅人に。)この通りの狭い小屋で、寝る所も無し、貸してあげる夜具もありませんが、焚火のそばで居眠りでもして、夜が明けてからお立ちなすったら何うですね。
旅人 さあ。(かんがえている。)
おつや あんた。素直にオーケーとお云いなさいよ。邪魔なおじさん達を先へ寝かして仕舞って、あんたとあたしと差向いで、ゆっくり夜明しをしましょうよ。なにしろ舞台がこんな所で、ふくろの鳴き声や狸囃子の鳴物じゃあ、しんみりしたお芝居にゃあなりませんけれど、漫才の掛合だと思えばいいでしょう。
(旅人は無言で考えている。)
おつや (摺り寄る。)あたしがだんだん陽気になるのに、あんたはだんだん陰気になっちゃあ、お附合いが出来ないじゃありませんか。ねえ、あんた。袖ふり合うも他生の縁とかいうから、そんなにあたしを嫌わなくっても好いでしょう。今夜はここで仲好くお話をしましょうよ。(笑いながら。)あんたはこんな唄を御存じ……。あの時が無かったら、あなたはあたしの物じゃない――。