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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選(ひだのかいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,271 字 · 263 頁

青空文庫

で、お杉は山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)を手先に遣うとも伝えられた。お杉は山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)の女房であるとも伝えられた。固より確な証拠がある訳でもないが、こんなような意味からして、老たるお杉は一種の魔女の如くにも見られていた。

或時には又こんな事もあった。お杉が門に立って米を乞うた時に、或人が一合ばかりの米を与えて、冗談半分に斯う云った。「お前も知っている通り、飛騨の国は米が少いのだから、之を十倍にして返して呉れるか。」お杉は黙って首肯いて去った。すると、其晩の中に一升ほどの白米が、其家の前に蒔き散らされてあった。

又、或家に夜も昼も泣く赤児があって、お杉が門に立った時にも、其児は火の付くように泣いていた。彼女は黙って其額を撫でると、赤児は其以来些とも泣かなくなった。

善か、悪か、狂か、兎にも角にも彼女は普通の人間でない、一種不思議の魔力を有っている女の様にも見えた。

お杉に就て安行の知っているのは、先ず此位の程度であったが、迷信の多い人々の説を聞いたら、まだ此上にも種々不可思議の実例があるらしい。