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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選(ひだのかいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,271 字 · 263 頁

青空文庫

(二十六)

「大旦那はここに居たぞ。おうい、おうい。早く来いよ。」

先方でも声に応じて駈けて来た。が、惨憺たる此場の光景を見て、何れも霎時は呆気に取られた。巡査は剣鞘を握って進み出た。

「残酷なことを行りましたなあ。※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)でしょうか。」

「無論、※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)です。※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)の仕業です。」と、市郎は歯噛をした。

「顔の皮を剥いだのは、犯跡を晦ます為でしょうか。」

「そんなことかも知れませんな。」

巡査は首肯いて、これも一応屍体を検めたが、やがて少しく眉を顰めた。

(二十六)

「角川さん。」と、塚田巡査は市郎を顧って、「もう一度この老人の口を……歯を能く見て下さい。」

市郎は死人の口を開けて見た。

「どうです。違や為ませんか」と、巡査は首を拈った。

成程、違っていた。今まで気が顛倒していたので、流石にそこまでは意が注かなかったが、安行の前歯は左が少しく缺けていた。この男の前歯は左右とも美事に揃っている。髪の色こそ似ているが、確に人違いだ、我父では無い。