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ぜにがたへいじとりものひかえ

鬼の面 ――銭形平次傑作選3

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《鬼の面 ――銭形平次傑作選3(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,312 字 · 57 頁

青空文庫

「私は父親の後添の連れ子で、兄弟は兄弟でも、兄の七郎兵衛とは義理のある兄弟になっております」

「長崎ではいっしょに働いたというが――?」

「いっしょに苦労もしました」

「で、長崎屋の身上はどうなるのだ」

「皆んな兄のものでございます、――尤も、その三つの一つは私のもので、番頭の友三郎と、御浪人の岡さんも、残りうちから、少しずつ配けて貰うことになっております」

「それは、書いたものでもあるのか、それとも証人など――」

「いえ、何んにもございません、でも三人の申合せで、間違いのないことになっております、長崎屋の身上の十のうち三つは私、十のうち二つは友三郎と岡さん、つまり半分だけは兄の七郎兵衛のものになるわけで」

「なるほど」

ずいぶん覚束ない話ですが、三人が信頼し合ってそうきめたものなら、平次は口を入れるわけにも行きません。

「昨夜お前さん帰りは遅かったそうだな」

「御町内の衆五六人と川崎へ詣り、戻ったのは子刻(十二時)近かったと思います。品川でさんざん飲んだ酔も覚めて、ヘトヘトに疲れておりました」

「家へ入ったのはお前さん一人だったね、――確かに」

「一人でした、間違いはございません。