輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
と庄十郎は何事かを仄めかしつつ続けた。「その次はちょうど二時のことで、最初の鐘鳴器が鳴っていた時でございましたが、田郷さんを寝台に臥かしてから、医者に電話を掛けに行く途中でございました。もう一度この具足の側に来てみますと、その時は易介さんの妙な呼吸使いが聞えたのです。私はなんだか薄気味悪くなってきたので、すぐに拱廊を出て、刑事さんに電話の返事を伝えてから、戻りがけにまた、今度は思いきって掌に触れてみました。すると、わずか十分ほどの間になんとしたことでしょう。その手はまるで氷のようになっていて、呼吸もすっかり絶えておりました。私は仰天して逃げ出したのでございます」
検事も熊城も、もはや言葉を発する気力は失せたらしい。こうして庄十郎の陳述によって、さしも法医学の高塔が、無残な崩壊を演じてしまったばかりでない。円廊に開いている扉の閉鎖が、一時少し過ぎだとすると、法水の緩窒息説も根柢から覆されねばならなかった。易介の高熱を知った時刻一つでさえ、推定時間に疑惑を生むにもかかわらず、一時間という開きはとうてい致命的だった。のみならず、庄十郎の挙げた実証によって解釈すると、易介はわずか十分ばかりの間に、ある不可解な方法によって窒息させられ、なおその後に咽喉を切られたと見なければならない。