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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
最初は四つの踏み石の中で、本館に沿うた一つを踏んでいる。それから、次にその向う側の一つを、そして、最後が左右となって終っている。けれども、その循環にある最奥の意義と云うのは、僕等が看過していた五回目の一踏みにあったのだ。それが、最初踏んだ本館に沿うている第一の石で、つまりレヴェズは、一巡してから旧の基点に戻ったので、最初踏んだ石を二度踏んだことになるのだよ」
「しかし、結局それが、どういう現象を起したのだね?」
「つまり、僕等には伸子の不在証明を認めさせた、また、現象的に云うと、それが、上空へ上った飛沫に対流を起させたのだよ。何故なら、1から4までの順序を考えると、一番最後に上った飛沫の右側が最も高く、続いてそれ以下の順序どおりに、ほぼ疑問符の形をなして低くなってゆくだろう。そこへ、五回目の飛沫が上ったのだから、その気動に煽られて、それまで落ちかかっていた四つの飛沫が、再びその形のままで上昇してゆくだろう。すると、当然最後の飛沫との間に対流の関係が起らねばならない。それが、あの微動もしない空気の中で、五回目の飛沫をふわふわ動かしていったのだ。つまり、その1から4までのものと云うのは、最後に上った濛気をある一点に送り込む――詳しく云えば、それに一つの方向を決定するために必要だったのだよ」