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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁

青空文庫

まったく、レヴェズの異風な性格には、文字どおりの怪物という以外に評し得ようもないであろう。

その室は、雷文様の浮彫にモスク風を加味した面取作りで、三つ並びの角張った稜が、壁から天井まで並行な襞をなし、その多くの襞が格子を組んでいる天井の中央からは、十三燭形の古風な装飾灯が下っていた。そして、妙に妖怪めいた黄色っぽい光が、そこから床の調度類に降り注がれているのだった。法水は叩しなかったことを鄭重に詫びてから、レヴェズと向き合わせの長椅子に腰を下した。すると、まずレヴェズの方で、老獪そうな空咳を一つしてから切り出した。

「時に、先刻遺言書を開封なさったそうですな。すると、この室にお出でになったのも、儂にその内容を講釈なさろうというおつもりで。ハハハハ、だが法水さん、たしかあれは莫迦げた遊戯のはずで、いや今ですからお話しますがね。実を云いますと、開封すなわち遺言の実行なのです。つまり、あれには期限の到来を示す意味しかなくて、しかも、その内容は即刻実行されねばならんのですよ」

「なるほど……。いかにもあのままでは、偏見はおろか、錯覚さえも起す余地はありますまい。