輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
を花瓶に当てて倒したと云いました。しかし、その花瓶というのが入口の向う端にあるのですから、当時伸子の体位と花瓶の位置を考えると、とうていその局状は成立する道理がないのです。まず伸子が左利でない限りは、『聖ウルスラ記』を右手から投げて頭上を越え、それを花瓶に打衝けるということは、全然不可能だろうと思われるのです。そこで僕は、エルブ点反射を憶い出しました。それは、上膊を高く挙げると肩の鎖骨と脊柱との間に一団の筋肉が盛り上ってきて、その頂点に上膊神経の一点が現われるのです。ですからもし、その一点に強い打撃を加えると、その側の上膊部以下に激烈な反射運動が起って、その瞬後には痲痺してしまうのですよ。いや、事実現場にも、エルブ反射を起すに恰好な条件がそろっていたのでして、ちょうどその二冊のあった場所と云うのが、両手を挙げなければ届かぬほどの高さだったからです。ところがレヴェズさん、そうして伸子の嘘を訂正してゆくうちに、ふと僕は、当時あの室に起った実相を描き出すことが出来ました。と云うのは、伸子が『聖ウルスラ記』を取り出そうとして、右手を書棚の上段に差し伸べた際でした。