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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
まだ七年にしかならない私などとは違って、傭人とは云い条、幼い頃から四十四の今日まで、ずうっと算哲様の手許で育てられてまいったのですから。それに、この図は勿論索引には載っておりませず、絶対に人目に触れなかったことは断言いたします。算哲様の歿後誰一人触れたことのない、埃だらけな未整理図書の底に埋もれていて、この私でさえも、昨年の暮まではいっこうに知らなかったほどでございますものね。そうして、貴方の御説どおりに、犯人の計画がこの黙示図から出発しているものとしましたなら、犯人の算出は――いいえこの減算は、大変簡単ではございませんこと」
この不思議な老婦人は、突然解し難い露出的態度に出た。法水もちょっと面喰ったらしかったが、すぐに洒脱な調子に戻って、
「すると、その計算には、幾つ無限記号を附けたらよいのでしょうかな」と云った後で、驚くべき言葉を吐いた。「しかし、恐らく犯人でさえ、この図のみを必要とはしなかったろうと思うのです。貴女は、もう半分の方は御存じないのですか」
「もう半分とは……誰がそんな妄想を信ずるもんですか※(感嘆符二つ、1-8-75)」と鎮子が思わずヒステリックな声で叫ぶと、始めて法水は彼の過敏な神経を明らかにした。