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おもかげしょう
おもかげ抄
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《おもかげ抄(おもかげしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,947 字 · 22 頁
「いやそれは困ります、浪人ながら御領内に住む孫次郎、些かなりともお役に立てば、本望でござる。礼物など平に……」
「まあお受け下され、辞退されるほどの品でもござらぬ」
贈物を進めて沖田源左衛門が、
「さて、改めてお願いがござる」
と云った、「お腕前のほど先日篤と拝見仕ったが、御流儀は梶派でござるな」
「はあ、未だほんの未熟者でござる」
「実は拙者も壮年の頃、梶派一刀流を些か学びましたので、太刀捌きなつかしく、拝見致しましたが、――就ては拙者に千之助と申す伜が居ります、これに、梶派を教え度いと予々心掛けて居ったところ。如何でござろうか、日取りその他は御都合にお任せ申すが、拙宅まで御教授に出向いては下さるまいか」
大番頭をも勤める人が、自ら辞を低うしての懇請である。素より武道に生きる身の拒む理由はなかった。
「未熟者の拙者、迚も人にお教え申すことなどは、出来ませぬが、折角の思召しを辞するは却って失礼、宜しかったら型だけにても」
「御承知下さるか、それは忝のうござる、――では追って日取などを決めたうえ」
と源左衛門は悦ばしげに云ったが、ふと奥の方を見やって、
「御家内には御病臥でござるか」