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おれのにょうぼう
おれの女房
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《おれの女房(おれのにょうぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 頁
「大雅がくだらねえのはもちろんだ、あんなものは遊びだ、光琳だって遊びだ、みんな絵をにげてる、風雅めかしだ、本音とはべつなところで、風流とか文雅などを衒ってるんだ」
そう何十遍となく云い古したことをまたいっている。自分でそう思いながら、そう思うことで逆に声を高くし、言葉を激しく強くした。
「応挙なんて型じゃねえか、型で描いてるだけじゃねえか、偉そうに構えたって雪舟だってそうだ、つきつめてゆけばみんな原型があるじゃないか、鎌倉期以前のものはいいよ、絵巻や絵師なんぞには独特なものがある。土佐派のものにもずいぶん独創的なものがある、近世でややみられるものといえば宗達くらいしきゃいやしねえ、あとはたいてい模倣か遊びだ、そんなものは絵じゃあねえ、絵というものには生命がかよっている筈だ、何百千年のちの人間にも、ぴしっと生命のかようものがなくちゃあほんものの絵とは云えやしねえ」
「生命のかよっているものを」孝兵衛が大きな声で云った。「――新しいほんものの絵を、おれたちの手で」
「風俗を叩き毀そう、高邁に生きよう、八百屋、魚屋のような、金儲けのための絵を葬むるんだ、真の絵はおれたちのなかにある」