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おれのにょうぼう

おれの女房

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《おれの女房(おれのにょうぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 頁

青空文庫

島田敬之助も、こう云って膝を叩いた。まるで膝の上にその風俗があるかのように。それからどんなようなことになったものか、気がつくと吉原の小店のひと間に寝ていた。まえにもたびたび来たことのある家で、その狭い、うす汚れた部屋にも見覚えがあった。

――またやった、情けないやつだ。

彼は眉をしかめ唇を歪めて、嫌悪に堪えぬように頭をぐらぐらさせた。悔恨というより、自分がきたならしく、いやらしく、やりきれないほど情けなかった。

――側に寝ていた女がふと首をあげた。――もぞもぞ身動きをして、そうしてこちらへ向きなおった。

「眼がさめたの、気持はどう、――苦しいのなおった」

「たいしたことはない、伴れはどうしたろう」

「みんなあっちにいるわ、水あげましょうか」

又五郎は女の顔を見ることができなかった。

「いまなん刻ごろかね」

「まだ早いわよ、今日もいつづけだって云ってたじゃないの、――お酒とうにここへ持って来てあるのよ、ちょっとお燗しましょうか」

「いや酒はもういい」

彼は起きて手を洗いにいった。連子窓の障子がうっすら白んでいるようにみえた、頭は濁り、躯はふらふらし、なにかのぬけがらのような感じである。