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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《かんかん虫は唄う(かんかんむしはうたう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 頁
ある。しかし、今はお光さんに、きびしい鞭をピシピシと打たれて、その真実のまえに、慚愧のあたまを下げずにはいられなかった。
「いや、相すまん。さっそく、亀田という人を、貰い下げよう。何とも、すまん事じゃった」
「当然その人には、賠償する義務がありますわね」
「あります。その人の身の立つように考慮しましょう」
「よろしい、誓ったことよ。――ではすぐ伊勢佐木署の保科署長を呼んで貰いましょうか。黒眼鏡は自首するそうです。つまり、冤罪をうけてはいっている亀田さんと入れ代りになるんですから」
「さっそく、電話をかけましょう」と、理平は唯々として、お光さんの命に伏した。
署長、刑事主任、ほか二、三人、すぐに自転車をとばしてきた。黒眼鏡はるるとして、船渠以外の犯罪の事実までを陳述した。それは、すこしも暗惨な気分のない、明るい話をするようだった。
「仕立屋の身内か。じゃいちど、手にかけたことがあるな」
「ごやっかいになったことがございます」
と、いう風に柔順であった。
「よろしい」
と、常の方を終ってから、
「検事局の方へ上申すれば、亀田は、即日放免されましょう。何、まだ未決監ですから、法曹界の人々に聞えても、問題化される心配はありません。