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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《かんかん虫は唄う(かんかんむしはうたう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 頁
朝のうち
「そんなことは、トム公が、最初から断言しているじゃないの」
「そこで、どうしたんだ、店では」
「狒々旦那は、考えておくから、あしたもういちど電話をしてみて下さいと、軽く断ろうとしたのよ。――だけど私、そばからすすめて、無理に品物を預からしたのよ、その男も、急場に金がいるんだから、置いていってもいいと言うのさ。……面白いだろう、明日の午後二時頃には、もういちどその男が、店へ来ることに仕掛けたのだから……」
「よし、そいつは、おれが捕まえる」
と、今村や二、三人が競い立った。
「で、捕まえたら」
「わたしとトム公とで、十二天の上で待っているから、連れて来てもらいたいわ」
お光さんは、指環のサックを、広東服のポケットに納めて、
「高瀬の方の手段は、それから考えたっていいしね……」と南京豆を割った。
その晩の話は、それですんだ。
「居留地のクラブへ行こうぜ」
「だめだよ、君たち」
「どうして」
「李鴻章は、上海へ高飛びしちまったから」
朝のうち
千歳の女将は、朝詣りの帰りを、呼びこまれた常盤町の金春で、三十分ほど縁喜棚の下でしゃべりこんでいた。
熱い塩桜の湯を、手にのせて、
「おや、豆菊ちゃんは、見えないね」