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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《ぐうたら道中記(ぐうたらどうちゅうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 頁

青空文庫

「打棄って了おうか?」

とお父さんが言うと、

「然うさね」

と三輪さんが生返辞をした。

「約束をした以上は日本中持って歩くより外はないよ。田口君に相談なしで処分出来るもんか。僕は一向知らないことだから、君達二人で責任を負い給え」

と団さんは内心面白がっている。

虎が再び棚に納まってしまうと、僕は鶴見辺りまでは花月園に来て知っているから余り興味がないので、旅行日程と旅行案内の対照に没頭した。田鶴子さんはナカ/\勉強家で終始トルストイか何かを手にしていた。横浜に着いた時、客が大分乗り込んで、僕達の近辺では西蔵婦人がボーイの注意によって信玄袋を棚へ上げた跡に、子供を抱いた若い奥さんが坐った。こゝまでは東京の場末の延長のようなもので別に目新しいこともなかったが、程ヶ谷からは景色が急に田舎風になった。道筋の藁葺の家が並んでいる。それが皆申合せたように屋根という屋根に天辺に草を生やし、中には何か花の咲きかけているのもあった。

「謙さん、これが昔の東海道ですよ」

と団さんが僕に教えて呉れた。

「成程、この藁屋と並木の様子はいかにも街道筋らしいね。広重の絵にそっくりだ」