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それから
それから
線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁
何処へ行く当もないのを好加減な町を名指して二時間程ぐるぐる乗り廻して帰った。
翌日も書斎の中で前日同様、自分の世界の中心に立って、左右前後を一応隈なく見渡した後、
「宜しい」と云って外へ出て、用もない所を今度は足に任せてぶらぶら歩いて帰った。
三日目にも同じ事を繰り返した。が、今度は表へ出るや否や、すぐ江戸川を渡って、三千代の所へ来た。三千代は二人の間に何事も起らなかったかの様に、
「何故それからいらっしゃらなかったの」と聞いた。代助は寧ろその落ち付き払った態度に驚ろかされた。三千代はわざと平岡の机の前に据えてあった蒲団を代助の前へ押し遣って、
「何でそんなに、そわそわしていらっしゃるの」と無理にその上に坐らした。
一時間ばかり話しているうちに、代助の頭は次第に穏やかになった。車へ乗って、当もなく乗り回すより、三十分でも好いから、早く此所へ遊びに来れば可かったと思い出した。帰るとき代助は、
「又来ます。大丈夫だから安心していらっしゃい」と三千代を慰める様に云った。三千代はただ微笑しただけであった。
その夕方始めて父からの報知に接した。その時代助は婆さんの給仕で飯を食っていた。