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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁
せっかく主人が信じているなら信じるに任せておいたらよい。強いて主人に同情をすれば、あるいはそれは静ではなく、南朝の姫宮方であったか、戦国頃の落人であったか、いずれにしてもこの家が富み栄えていた時分に、何か似寄りの事実があって、それへ静の伝説が紛れ込んだものかも知れない。
私たちが辞して帰ろうとすると、
「何もお構い出来ませぬが、ずくしを召し上って下さいませ」
と、主人は茶を入れてくれたりして、盆に盛ったの実に、灰の這入っていない空の火入れを添えて出した。
ずくしはけだし熟であろう。空の火入れは煙草の吸い殻を捨てるためのものではなく、どろどろに熟れた※(「木+(「第-竹」の「コ」に代えて「丿」)、「柿」の正字」、第3水準1-85-57)の実を、その器に受けて食うのであろう。しきりにすすめられるままに、私は今にも崩れそうなその実の一つを恐々手のひらの上に載せてみた。円錐形の、尻の尖った大きな※(「木+(「第-竹」の「コ」に代えて「丿」)、「柿」の正字」、第3水準1-85-57)であるが、真っ赤に熟し切って半透明になった果実は、あたかもゴムの袋のごとく膨らんでぶくぶくしながら、日に透かすと琅の珠のように美しい。