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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁
「じゃあ、巧く行くと僕もお和佐さんに会える訳だね」
「うん、今度の旅行に君を誘ったのも、是非会って貰って、君の観察を聞きたかったんだ。何しろ境遇があまり違い過ぎるから、その娘を貰ったとしても果して幸福に行けるかどうか、多少その点に不安心がないこともない、僕は大丈夫と云う自信は持っているんだが」
私はとにかく津村を促してその岩の上から腰を擡げた。そして、宮滝で俥を雇って、その晩泊めて貰うことにきめてあった国栖の昆布家へ着いた時は、すっかり夜になっていた。私の見たおりと婆さんや家族たちの印象、住居の様子、製紙の現場等は、書き出すと長くもなるし、前の話と重複もするから、ここには略すことにしよう。ただ二つ三つ覚えていることを云えば、当時あの辺はまだ電燈が来ていないで、大きな炉を囲みながらランプの下で家族達と話をしたのが、いかにも山家らしかったこと。炉には樫、櫟、桑などをくべたが、桑が一番火の保ちがよく、熱も柔かだと云うので、その切り株を夥しく燃やして、とても都会では思い及ばぬ贅沢さに驚かされたこと。炉の上の梁や屋根裏が、かっかっと燃え上る火に、塗りたてのコールターのように真っ黒くてらてら光っていたこと。