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しゅんきんしょう

ちくま日本文学014 谷崎潤一郎

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁

青空文庫

のを待って再び連れて戻るのであったが途中春琴はめったに口を利いたことがなく、佐助もお嬢様が話しかけて来ない限りは黙々としてただ過ちのないように気を配った。春琴は「何でこいさんは佐助どんがええお云いでしたんでっか」と尋ねる者があった時「誰よりもおとなしゅうていらんこと云えへんよって」と答えたのであった。元来彼女は愛嬌に富み人あたりが良かったことは前に述べた通りだけれども失明以来気むずかしく陰鬱になり晴れやかな声を出すことや笑うことが少く口が重くなっていたので、佐助が余計なおしゃべりをせず役目だけを大切に勤めて邪魔にならぬようにしている所が気に入ったのであるかも知れない〔佐助は彼女の笑う顔を見るのが厭であったというけだし盲人が笑う時は間が抜けて哀れに見える佐助の感情ではそれが堪えられなかったのであろう〕

○

おしゃべりをしないから邪魔にならぬからというのが果して春琴の真意であったか佐助の憧憬の一念がおぼろげに通じて子供ながらもそれを嬉しく思ったのではなかったか十歳の少女にそういうことは有り得ないとも考えられるが、俊敏で早熟の上に盲目になった