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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁
私に足手まといでござりますと涼しい顔つきで云うのである
○
この時春琴が生んだ子はよそへ貰われて行ったのである弘化二年の生れに当るから今日存命しているとも思われないし貰われて行った先も知れていないいずれ両親がしかるべく処置したのであろう。そんな訳でとうとう春琴は我を張り通し妊娠の一件を有耶無耶に葬ってまたいつの間にか平気な顔で佐助に手曳きさせながら稽古に通っていたもうその時分彼女と佐助との関係はほとんど公然の秘密になっていたらしいそれを正式にさせようとすれば当人たちがあくまで否認するものだから、娘の気象を知っている親達はやむをえず黙許の形にしておいたと見えるかくして主従とも相弟子とも恋仲ともつかぬ曖昧な状態が二三年つづいた後春琴二十歳の時春松検校が死去したのを機会に独立して師匠の看板を掲げることになり親の家を出て淀屋橋筋に一戸を構えた同時に佐助も附いて行ったのである。けだし彼女は検校の生前すでに実力を認められいつにても独立して差支ないよう許可を得ていたことと思われる検校は己れの名の一字を取って彼女に春琴という名を与え晴れの演奏の時しばしば彼女と合奏したり高い