輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

チェーホフのたんぺんについて

カシタンカ・ねむい 他七篇

神西 清

線上閱讀神西 清《カシタンカ・ねむい 他七篇(チェーホフのたんぺんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,418 字 · 92 頁

青空文庫

7

もっとも次のことは言い添えておく必要があるかも知れない。それは、絶対の非情はしばしば寛容に似た外観を呈するという事実である。彼は、その馬泥坊はこれこれ斯様の人間だったとは書くが、馬を盗むのは悪いことだとは口を裂かれても言わない。けだし判決は統計係の受持でないからである。馬泥坊はその作品を読んで、知己を感じて、さだめし随喜の涙をこぼすだろう。同様にして当時のインテリも、ほかならぬ自分たちに関する統計表を見て感涙にむせんだのだ。現実の復権だとか、汎神論だとかいう評言がチェーホフの在世中にも行われ、今なお頗る根づよいもののあるのはその為である。同様にして彼が封建むざんな連中の庇護者なり同情者なりのように見えたところで、別に不思議はないかも知れない。

手みじかに言えば非情の作用は輻射熱に似ている。草木の繁ろうと枯れようと太陽の知ったことではない。太陽はただその軌道を誤りなく運行するだけのはなしだ。チェーホフの人気の実になだらかな持続も、彼の作品への消えることのない信頼感も、つきつめて言えば単にこの一事にもとづいているのではあるまいか。

7

僕の書く人物が陰気だとあなたは言うが、それは僕のせいではない。