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ロザリオのくさり

ロザリオの鎖

永井 隆

線上閱讀永井 隆《ロザリオの鎖(ロザリオのくさり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,351 字 · 213 頁

青空文庫

と思ったりなどしました。雪はいよいよ降り積み、昼すぎには腰を隠してくれましたが、そのころにはときどき気が遠くなるようになっていました。

おとといの夜の夢を思い出しました。

どこかの松山を父と二人通ってゆくと、向こうにとろとろ火が燃えている。

「あれは何でしょう?」父に問うた。

「あれは聖霊の力でなければ通れぬよ」

と父は申しました。ツルはこの父の言葉を思い出し、一心に聖霊の助力を祈りましたが、もう祈りの声が出ず「あっぱ、あっぱ」と言うばかりでした。

その時同囚の一信者が便所の窓から頭を出し、ツルに天を指さして見せました。これは、

「今日はいよいよ天に昇れるぞ」

と、勇気をつけてくれたのです。ツルは天を指さしたのを見てにっこりほほえみました。

雪は小やみなく天地の間をかのこに染めて降りつづける。ツルの乳ぶさはすでに雪にうずまり紫色の肩から上が、白い布の上に聖アグネスのブロンズ胸像を置いてあるようです。庭はただ静かに雪の高さを増してゆく。ときどきどうっと音がして松の枝に積もった雪がこぼれると、そこにしばらくは、揺らぐ緑を見せるばかり、それさえやがてふたたび真白く塗りつぶされる。