輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《三枚続(さんまいつづき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 頁
」
お夏は何にも謂わないで微笑みながら、
「八銭、七銭、五銭、合せて十二銭、三十二銭、十六銭。」
愛吉慌しく急込んで、
「おっと! と。」
「またかい。」
「大概可うがすがね。」
「算用が大概じゃあ困るからね、また遣損なったんでしょう。」
「ええと、今何でさ、合せてなんて、余計なことを言いなすった時、拇で引懸けて、上が下りて一ツ飛んで入りましたっけ。はてな、」
お夏は帳場格子に肱をついて、顔を出して、愛吉が手なる算盤を差覗いた。間近に照らす洋燈の明に、と見れば喧嘩の名残である、前髪が汗ばんでいた。頬にかかるのは愛嬌毛で、
「幾ツ入違えたの、お直しな。」
愛吉は小指でちょいちょいと耳を掻き、
「珠を幾つ遣損なったか、それが分りますと可うがすがね。」
お夏は肱を掛硯の上へ支き直して、明の後へ胸を引いた。
「もうこっちへお寄越しなさい。」
愛吉は一議もなく、算盤と一所に額を突出し、お辞儀をして、
「どうぞ願います。」
入違いにぽんと投出す、帳面を受取って、愛吉は膝の上。
「読みますぜ。」
お夏は前髪の下へ、美しい指を一本、珠を狙って傍目も触らず、
「さあ、」
「しっかりおやんなさい。