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えいがをつくるはなし

中谷宇吉郎集 第三巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第三巻(えいがをつくるはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,667 字 · 95 頁

青空文庫

磨硝子の上をフィルムが走って、それを裏から電灯で照しながら、拡大鏡で見る装置である。フィルムの走る速さは、ペタルの踏み加減で任意に調節出来るので、大変工合の良いものである。これで覗きながら、カットの取捨をしたり、一部を切ったりして、つないで行くのであるが、一番の問題は場面の気分が台本を作る時に考えたものとまるでちがっているものが多いことである。それから偶然巧く撮れた予期しない場面もかなりあるので、これ等を取捨選択するとなると、全体の調子も構成も、初めに考えていたものとは大分変って来る。もっともそれだから編輯の方が重大なので、意想外にむつかしいが、面白いこともずいぶん面白かった。

編輯をして見て一番閉口したことは、低温室の中がちっとも寒くないことである。零下三十五度を指している寒暖計の大写しを出して見ても、何にもならない。低温室の内部の壁が白木で張ってあるので、照明灯の光が映えて、室全体が煌々と輝いて、如何にも暖かそうに見える。これでは真暗な低温室の中で息が白く凍る雰囲気はとても出て来そうもない。そんなことに今頃になって気がつくのはおそいのであるが、気に入るような映画が一月くらいで出来上る筈はなかったのである。