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えいがをつくるはなし

中谷宇吉郎集 第三巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第三巻(えいがをつくるはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,667 字 · 95 頁

青空文庫

まあそういうことにして、清々しい札幌の夏を、出来るだけ長く享楽することにしている。

もっとも低温室の中は、普通零下三十五度位になっているので、その中で働く者にとっては、札幌も東京もない筈だろうと思われるかも知れない。しかし実際は大変な差があるので、東京の夏だったら、とても今のような低温室生活は出来ないだろうという気がする。それは外気温と低温室内の温度との差が、結局一番身体にこたえるので、札幌でも冬にくらべると、夏の方が恐ろしく閉口なのである。

低温室への御客様には、今までは皆ちゃんとした防寒具をつけて貰っていたのであるが、完全な身仕度をした場合は、十分や二十分間入ったのでは、余り寒さの体験を得られない。研究室の人たちは、もう馴れてしまっているので、十分間位なら普段のままで入っても大してこたえない。それで少し人が悪いようだが、この頃はよくお客様に防寒服なしで低温室内へはいって見て貰うことがある。そうすると十分位すると、皆縮み上って出て来られる。そして「なる程寒いですなあ」と言われる。

真夏の東京の苦熱を逃れて来たお客様たちは、よく「結構な研究を始めたものだね」