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えいがをつくるはなし

中谷宇吉郎集 第三巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第三巻(えいがをつくるはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,667 字 · 95 頁

青空文庫

可哀そうな話だが、どうも仕方がない。

次の壁側には三尺の実験台が二つ並べてある。その一つでは、I'君が凍土の熱伝導度を測っている。極端に空間を節約する必要があるので、その上には十センチ角くらいな凍土のブロックが周囲を断熱して置いてあるだけである。その上面に電熱板を置いて、それに正弦波形の熱を加えて、内部の温度変化を熱電対で測るという方法である。正弦波形に熱を与えるには、スライダックという変圧器を、特別の形のカムで徐々に廻して、正弦の平方根に比例する電流を通してやるのであるが、そういう装置は皆、低温室の外の廊下に置いてある。

電流の変化が正弦の平方根になるので、電熱は正弦波形になる。するとその熱が凍土の上面に与えられるので、表面の温度が時間とともに正弦波形に変る。その熱が伝導度の如何によって少しおくれて凍土の中へつたわって行くので、凍土内部の温度変化を測ると、伝導度が分るという仕組なのである。

今一つの台の上では、湿土の凍結による膨脹収縮をA君が測っている。凍上という以上、凍結によって膨脹するのは当然と思われるかもしれないが、膨脹は寒さの侵入する方向、即ち普通ならば上向きだけに生じるので、側面方向では収縮を起すのである。