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えいがをつくるはなし
中谷宇吉郎集 第三巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第三巻(えいがをつくるはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,667 字 · 95 頁
そのうちに思いついたのが、今度の十勝行の再挙である。行きつけた白銀荘の小屋は、僅か三千五百尺の高度に過ぎないが、それでも一ヶ月も待っていたら、ちょうど運よく巧い気象配置に遭遇して、あの小屋を囲る美しい椴松の梢あたりを、初期状態の雪の結晶が流れとぶ日があるかも知れないというのである。そういう旅の門出を、今、朝日に輝いた氷晶の乱舞に迎えられて、一行の心が急に晴れやいで来たのも無理はない。
氷晶は間もなく姿を消したが、二月の直射する陽の光はもうかなり強い。塵の名残りさえ無い空は紺碧に澄んで、雪原はまばゆく照り映えている。黒地の防寒服は、太陽の輻射熱を心ゆくばかり吸って、身体は暖かく、そして空気は冷い。幾度もの十勝行で、今度ほど恵まれたことはなかった。一行の若い人たちは、時々馬橇からとび降りて、雪原のかなたに聳える十勝連峯の写真を撮るのに忙しい。心なしか今日は十勝の噴煙も高々と立っているようである。幾分私の身体のことも気づかって同行して来てくれた友人の一人は、「こんな日が又来ようとは思わなかっただろうね」としみじみと言ってくれた。
今度の計画は、一ヶ月間十勝にステーションを置いて、教室の人たちが代る代るにやって来て、その間中雪の結晶の連続観測をしようというのである。