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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第六巻(「もくせい」ごうのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 頁

青空文庫

そして昭和十四年に京大の教授に迎えられたのであるが、家はまだ六甲の方にあった。

札幌でこの騒ぎがあった昭和十五年の年は、それで湯川さんの名前が、日本の物理学界でも大きくクローズアップされたばかりの頃であった。方々から講演だの、臨時講義だのを頼まれ、それにまた無下に断り切れない性質だったもので、到頭北海道まで引っ張り出されて、この厄を蒙ったわけである。当時まだ三十四歳くらいの若さであったが、大いに感心したことがあった。それは雑誌会などでいろいろ話をきいてみると、最尖端の原子核物理学ばかりでなく、力学や熱力学のような古典的の物理学も非常にしっかりしていた点である。

義理堅い性質で、この時の北大の講義が中途半端になったからといって、十七年の夏にまた一度講義にきてくれた。その前年の秋、細君をつれて六甲の御宅で一泊して、一夕大いに「文人墨客」をやったことがある。スミ夫人も子供の頃から画を習っていて、立派に雅名まであることを、その時初めて知った。私が秘蔵の嘉慶墨で、コスモスを描き、スミ夫人が赤とんぼをあしらい、湯川さんがそれに歓迎の俳句を賛してくれた。細君までその隅に俳句を書き添えるという極めて高尚な遊びをした。