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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第六巻(「もくせい」ごうのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 頁
モネラなる無核の単細胞生物を発見したと誤認したヘッケルは、『宇宙の謎』において、生命と物質との一元論を強調した。しかしそれは余りにも現在の科学を過信したものであった。もし将来核がなくて原形質だけの生物が発見され、一方「生きている」蛋白質が合成されるような日が来たと仮定しても、生命現象の神秘や自意識の本態が、そういう方向から解明されることはないであろう。デュ・ボア・レーモンがヘッケルに反対して掲げた『宇宙の七つの謎』の大多数は、依然として残るであろう。
現代の優れた科学者たちは、ヘッケル流の考え方をしていない。近代原子物理学の父ボーアの相補性原理が、その一番はっきりした拠点である。相補性原理によれば、人間の認識には限界がある。例えば原子については、その位置と速度とを、同時に決定することは出来ない。それは実験的に不可能なのではなく、本質的に不可能なのである。電子は粒子の性質と波動の性質とを、ともに持っていることが、実験的に確められている。そのこと自身が、電子の位置と速度とを同時にきめることが出来ないことを示している。位置を詳しく見れば速度はぼやけ、速度を精密にきめれば位置がぼやける。