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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第六巻(「もくせい」ごうのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 頁
つぎの入学試験には、無事通った。予備校が大いに役に立った次第である。はいったのは金沢の四高であった。当時の四高は、柔道と剣道と弓術とが、はなはだ盛んであった。毎年京都で全国高等学校の大会があったが、そこでこの三部そろって優勝した年もあった。そのかわり野球だのテニスだのという西洋風のものは、全く駄目であった。
私は入学するとすぐ弓術部へはいって、三年間いわゆる部の生活をした。三年生になった時、主将にされたので、対校試合の悲壮感は十分味わった。あの頃の四高は、対校試合に敗けると、主将は頭をくりくりに剃って学校へ出たものである。中には一年わざと落第して卒業をのばし、次の年の必勝を期するというような男もいた。そういうことを本気で考えるような雰囲気であったのである。
今から考えてみると、まるで夢のような話である。そのことの良し悪しは別として、こういう非功利的な考えが許されたのは、要するに日本の国力が充実していたことが、一番の原因であろう。そういう雰囲気で教育された学生が、国家組織の運営にあたっていたから、国力が充実したと、そう簡単にはいわないが、この両者の間にあるつながりがあったとは思っている。