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よがしゅっぱんじぎょう

予が出版事業

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《予が出版事業(よがしゅっぱんじぎょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,913 字 · 10 頁

青空文庫

甲寅叢書

意地も手伝って私が一人で之を支えたのだが、どうやら四年間は中でたった一月、御大礼のあった月を休んだばかりで、発行日も一週間とおくれると、腹が立って睡られぬほど騒いだ。人には内々だったが官舎の二階で校正もすれば発送の宛名をさえ書いた。時には原稿に手を入れて行数の勘定がしにくいので、大部分を我手で書き写したこともある。天性が発行事務というものに向いて居なかったら、幾ら学問に熱心でも斯んなことまでは出来なかったろう。御蔭で人の書いた報告まで自分の仕事のようになって、今でも何処に何が在ったかをよく覚えて居る。しかも評判があまりに高く問題になりそうなので、口実を設けて中止することにした。実は財政の方でもとっくに予算を超えて、可なり心もと無い状態に陥って居たのである。この雑誌は中間十年ばかりを隔てて、五巻以下を再興しかかったことがある。それには全く自分は携わらなかったが、最初の編輯方針がなお若干は踏襲せられて居り、今取出して見るとこれも共々に懐しく感じられる。

甲寅叢書

「郷土研究」を出して居た片手間に、私は又一つの叢書を計画した。是は内閣の文庫を整理して居て、始めて気が付いたことであったが、丁度三十七、八年の戦役を境目として、日本の出版文化は面貌を一変して居たのである。