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よがしゅっぱんじぎょう

予が出版事業

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《予が出版事業(よがしゅっぱんじぎょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,913 字 · 10 頁

青空文庫

或日同僚の西園寺という貴公子に、慨然としてこの不満を洩すと、至って容易に共鳴して援助を約してくれた。二、三日してから倶楽部仲間の赤星という実業家と相談したと言って、両人の名前で相応な金額を届けてくれた。私の責任は忽ちにして重いものになった。それで早速六人の友人を説きまわって、甲寅叢書というものの計画を立てた。甲寅は即ち大正三年である。此時の檄文は私が突嗟の間に筆を執ったもので、今日では人に読まれても顔を赤めるほどの高調子なものだったが、本の後に麗々と載って居るのだから致し方が無い。発起人は参加の順序でいうと三浦新村長谷川石橋、他の二人はもう故人になって居る。

何よりも大切な原則は自薦の原稿を警戒すること、しかもじっとして居ては有っても知ることが出来ないので、自分が主とし馳け廻って、よい著述を持つ人を見つけて勧説し、それを又同人に告げて承認してもらった。自分等ばかりは何でも最も力の籠ったものを一つずつ、出そうということまで約束したのだが、さてそれが中に出て来ない。始めは催促し中頃はやや様子を窺い、終りには又厳しく談じたのだが、結局誰も書かぬので少しうんざりした。