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ふたつのじょぶん

二つの

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《二つの(ふたつのじょぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 頁

青空文庫

細い実線が標準年変化曲線で、二本の点線が半旬平均の確率誤差の範囲を示すものである。この図の中に今年の気温の半旬平均を描き込んでみると、第4図中のぎざぎざした線になる。

「第4図 昭和20年気温(荒川淳)」のキャプション付きの図

第4図 昭和20年気温(荒川淳)

五月の初めから六月下旬まで、ずっと気温が低くて、確率誤差の下限を下廻る期間が多かった。この下限を下廻る公算は四分の一、即ち四年に一度の割合で起る冷害に今年は当ったわけである。ところが更に悪いことがあった。六月下旬から七月上旬にかけて、ちょっと異常に気温が上ったが、七月十日から月一杯一番大切な時に、たいへんな低温が襲って来たのである。確率誤差の二倍に近い低温、即ち十年に一度という程度の冷害に遭遇したわけである。これでは大凶作になるのも無理のないことであろう。秋はずっと標準状態で十月に入っては、確率誤差の上限を上廻る程度の温かさであったが、もう取返しがつくはずもなかった。

今年はひどい冷害に遭ったという言葉は、ほとんど連日聞かされたが、何月のどの時期に「どの程度の冷害」に遭ったかということをいった人は一人も無かった。