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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《二つの(ふたつのじょぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 頁
水と氷とのまじったものが、零度より少しでも高い温度になると、氷がとけて水の分量が増し、反対に零度より少しでも低い温度になると、水が凍って氷の分量が増す。そのいずれでもない境の温度が零度なのである。それで「水が凍る」という現象は、「水が氷になる」こと、すなわち現象が進行する場合を指しているので、零度以下にならないと、水が氷になるという変化は進行しないのである。
水は一般に静かに冷してやると、決して零度では凍らない。零下一度又は二度ぐらいまで冷えてから、急に氷が出来はじめるのが普通である。試験管に蒸溜水を入れて、それを塩と雪とで冷し、その中に綺麗に洗った寒暖計を入れておくと、この様子がよく分る。寒暖計は大抵の場合、零下二度又は三度まで下って行く。そのうちに何かの機会で、氷が出来はじめる。そうするとその氷がだんだん成長して行って、こんどは水の温度が零度近くまで上って来る。零度近くというのは、極めて零度に近い、例えば零下十分の一度とか、零下二十分の一度とかいう温度である。その零度に極めて近い状態のまま、時間がたつと全体が氷になるのである。この過冷却の水を作る実験は、器をなるべく清浄にして、埃などを含まない綺麗な蒸溜水を使って、静かに冷してやれば、誰にでも簡単に出来る実験である。