輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

でんきちのかたきうち

伝吉の敵打ち

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《伝吉の敵打ち(でんきちのかたきうち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,714 字 · 10 頁

青空文庫

深志あるものの所作なるべし。」が、歳月は徒らに去り、平四郎の往くえは不相変誰の耳にもはいらなかった。

すると安政六年の秋、伝吉はふと平四郎の倉井村にいることを発見した。もっとも今度は昔のように両刀を手挟んでいたのではない。いつか髪を落した後、倉井村の地蔵堂の堂守になっていたのである。伝吉は「冥助のかたじけなさ」を感じた。倉井村と云えば長窪から五里に足りない山村である。その上笹山村に隣り合っているから、小径も知らないのは一つもない。(地図参照)伝吉は現在平四郎の浄観と云っているのも確かめた上、安政六年九月七日、菅笠をかぶり、旅合羽を着、相州無銘の長脇差をさし、たった一人仇打ちの途に上った。父の伝三の打たれた年からやっと二十三年目に本懐を遂げようとするのである。

伝吉の倉井村へはいったのは戌の刻を少し過ぎた頃だった。これは邪魔のはいらないためにわざと夜を選んだからである。伝吉は夜寒の田舎道を山のかげにある地蔵堂へ行った。窓障子の破れから覗いて見ると、榾明りに照された壁の上に大きい影が一つ映っていた。しかし影の持主は覗いている角度の関係上、どうしても見ることは出来なかった。