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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁

青空文庫

秋の日は短いというのに、なぜ朝からぶらぶら遊んでいるんだよ。

李中行 遊んでいるのではない。こうして黙って坐っていても、おれには又おれの料簡がある。燕雀いずくんぞ大鵬のこころざしを知らんと、昔の陳勝呉廣も云っているのだ。

柳 なんの、聴き取り学問で利口ぶったことを云うな。百姓が畑へも出ないで、毎日のらくらしていてそれで済むと思うのかよ。早く刈込んで来なければ、たべ物ばかりか、焚き物にも困るじゃないか。ほんに、ほんにお前のような人は豚にも劣っているのだ。

李中行 なにが豚だ。

會徳 まあ、両方がそう云い募っていては、果てしが無い。そこで、おれはどっちの贔屓をするでもないが、きょうの喧嘩はどうも親父の方が好くないようだぞ。おふくろの云う通り、今は高粱の刈入れ時で、人間の手足が八本も欲しいという時節に、朝から喞え煙管で一日ぶらぶらしているのは、あんまり悠長過ぎるではないか。お前はそんな怠け者ではなかった筈だが……。

李中行 (笑う。)はは、おまえまでが女房の味方をするのか。いや、それも無理のないことだ。成程、おれは悠長過ぎるかも知れない、怠け者かも知れない。まあ、なんとでも云うが好い。