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ふたたびかがくてきせいしんについて
再び科学的精神について
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《再び科学的精神について(ふたたびかがくてきせいしんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,742 字 · 23 頁
竟り伝承的であるが故に歴史的だというのだ。歴史的発展(「進歩」というフランス大革命前後からの近代人の世界的表象)の故に歴史的だと考えられるのではない。だから之は歴史的精神でも何でもなくて、単に祖宗の伝習の精神であり、従って容易に保守とも復古ともなる処の精神でもあり得るわけなのだ。だからもし民衆の伝統という文化の重大要素が、この教学主義的な操作で操られるとしたら、民衆の不幸はこの上もないことになるだろう。
教学の精神が実は歴史的精神の反対物であることは忘れられてならぬが、云うまでもなく之は又実証的・実験的・技術的・精神の正反対物でもある。ここに教学の例の倫理道徳主義があったのである。教学という東洋文化乃至日本文化に特に著しい名目的伝統が、何等か一応の文化的権威と生活上の真実を持つかのように、ボロを出さずに済むのは、他のことを抜きにすれば、全く技術的な実証的な問題を始めから回避してかかっているからである。処がこの秘密を一等露骨にブチまけているのは、東大の教育学教授入沢宗寿博士の著書『日本教育の伝統と建設』の類だろう。之は教学(日本の国民的宗教感情に基く文化)こそが日本文化の本質であり、教学精神に立った教育こそが、日本の教育伝統であり又今日の教育の建設的な理想でもなければならぬと主張するのである。