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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

線上閱讀倉田 百三《出家とその弟子(しゅっけとそのでし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 頁

青空文庫

ゆるしておやり、ゆるしておやり。

僧三 あの場合私たちが少しも怒らずにいられたろうか。あの傲慢とあのわがままと、そしてあの侮辱を――

親鸞 無理はないのだよ。だがそれはよくはなかった。どのような場合でも怒るのはいけない。お前たちは確かに少しも怒りを発せずにゆるすべきであったのだ。だがだれにそれができよう。ねがわくばその怒りに身を任すな。火をゆるがせにすればじきに広がる。目をつぶれ。目をつぶれ。向こうの善悪を裁くな。そしてただ「なむあみだぶつ」とのみ言え。

僧二 それはずいぶんつらいことでございます。

親鸞 つらいけれどいちばん尊いことなのだ。またいちばん慧いことなのだ。何事もなむあみだぶつだよ。(手を合わせて見せる)

僧一 やはり私が間違っていました。唯円殿はどのようにあろうとも、私としてはゆるすのがほんとうでした。いくら苦しくても。知らぬ間に我慢の角が出ていました。

親鸞 ゆるしてやっておくれ。

僧一 はい。(涙ぐむ)

僧二 私はもう何も申しません。

僧三 私もゆるします。

親鸞 それを聞いて私は安心した。皆ゆるし合って仲よく暮らすことだよ。人間は皆不幸なのだからな。