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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

線上閱讀倉田 百三《出家とその弟子(しゅっけとそのでし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 頁

青空文庫

散乱した相じゃ。お前は自分をみじめとは思わないか。(あわれむように唯円を見る)

唯円 (涙を落とす)浅ましいとさえ思います。私は宿無し犬のようにうろうろしています。(自分をあざけるように)きょう、松の家のお内儀に、泥棒猫だとののしられました。私の小指ほどの価もないあの鬼ばばに!

親鸞 そのような言葉使いをお恥じなさい。お前はまったく乱れている。自分を尊敬し、自分の魂の品位を保たなくては聖なる恋ではない。我れとわが身をかきむしるのはこの世ながらの畜生道だ。柔和忍辱の相が自然に備わるべき仏の子が、まるで狂乱の形じゃ。

唯円 おゝ。私はどうしましょう。私は自分の影を見失いそうです。(動乱する)

親鸞 待て、唯円。も一ついちばん本質的なのが残っている。お前はお前の恋人に呪いをおくってはならない。

唯円 私があの女を呪うのですって。いのちにかけても慕うている恋人を?

親鸞 そうだ。よくお聞き。唯円。そこに恋と愛との区別がある。その区別が見えるようになったのは私の苦しい経験からだ。恋の渦巻の中心に立っている今のお前には、恋それ自身の実相が見えないのだ。恋の中には呪いが含まれているのだ。