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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
線上閱讀南方 熊楠《十二支考(上)〔全2冊〕(じゅうにしこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 290,735 字 · 566 頁
らくはその米俵巻絹世に存せざるなり〉という事は、『質屋庫』に引いた『五雑俎』四に、〈蘇州東海に入って五、六日ほど、小島あり、濶さ百里余、四面海水皆濁るに、独りこの水清し、風なくして浪高きこと数丈、常に水上紅光見われ日のごとし、舟人あえて近づかず、いわくこれ竜王宮なり、而して西北塞外人跡到らざるの処、不時数千人樹を□木をくの声を聞く、明くるに及んで遠く視るに山木一空、いわく海竜王宮を造るなり、余謂えらく竜水を以て居と為す、豈また宮あらん、たといこれあるもまたまさに鮫宇貝闕なるべし、必ずしも人間の木殖を藉らざるなり、愚俗不経一にここに至る〉とあるより翻案したのだろう。さて『和漢三才図会』の著者が、〈けだし竜宮竜女等の事、仏経および神書往々これを言う、更に論ずるに足らず〉と結んで居るが、一概に論ずるに足らずと斥けては学問にならぬ、仍ってこれから、秀郷の竜宮入りの譚の類話と、系統を調査せんに、まず瑣末な諸点から始めるとしよう。
『氏郷記』に、少時間で早く物を煮得る鍋を、宝物に数えたり、秀郷の子孫に限り、陣中女房を召し仕わざる由を特書したので、件の竜宮入りの譚は、早鍋世に極めて罕に、また中古の欧州諸邦と等しく、わが邦でも、軍旅に婦女を伴れ行く