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じゅうはちじのおんがくよく

十八時の音楽浴

海野 十三

線上閱讀海野 十三《十八時の音楽浴(じゅうはちじのおんがくよく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,941 字 · 210 頁

青空文庫

それはまるで八つ目鰻の腮のように見えたが、その窓枠はよく見ると臙脂色に塗ってあった。

博士は、螺旋階段をことことと、先にたってのぼっていった。僕は黙々としてその後につきしたがったが、階段を一つのぼるごとに、僕の心臓はまた一段とたかく動悸をうつのであった。

「さあ、しばらく入口で待っていてくれたまえ」

博士は、塔の頂上をしめている大実験室の扉の前に立ち停ると、僕の方をふりかえってそういった。そして自分は、入口の暗号錠をしきりにがちゃがちゃやっていたが、やがてそれをがちゃりと開いて、ひとり室内に姿を消した。

僕は入口にたたずみながら、異常な好奇心でもって室内の様子をうかがった。なにかしら、ひゅーんという高い唸り音をあげて、廻転機がまわっていた。

ことと、ことと、ことと。

カムがしきりにピッチをきざんでいる。

ぴかり――と、紫色の電光が、扉の間から閃いた。じいじいじいと、放電のような音もきこえる。

それにひきかえ、マカオ博士はなにをしているのか、咳の声さえ聞えてこない。

僕の心臓は、なんだか急に氷のように冷たくなったのを感じた。

ごとごとごとごとごと。そのとき博士の姿が入口にぬっと現われた。