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じゅうはちじのおんがくよく
十八時の音楽浴
海野 十三
線上閱讀海野 十三《十八時の音楽浴(じゅうはちじのおんがくよく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,941 字 · 210 頁
じつに博士は、一塊の宇宙塵として天空にその姿を消されたのであった。地球が生れて八十億年、その間にどのくらいおびただしい人間が生れたか数えられないほど多いが、宇宙塵に化した人間はただひとり、渋谷博士が数えられるだけである。
「やあ、いまお帰りでありますか」
不意に声をかけたのは、裏門を守る宿直の守衛だった。私は黙礼をして、門をくぐった。
「そうだ、先生が地球を飛びだされたのも、こんな寒い夜ふけだった……」
私はその当時のことを、まざまざと思いださずにはおられない。
渋谷博士は当時、優秀な航空テレビジョン機の発明を完成されていた。当時二組の機械が作られたが、入念に実験されたうえで、
(きみ、素晴らしい性能だ。これならば十億キロぐらい離れても受影ができるよ)
といってにっこりとされた。そうだ、その十億キロの意味がそのときハッキリ私に判っていたとしたら、あんなカタストロフィーは起らなかったかもしれない。鈍感な私はそういわれても、何ごとも連想しなかった。
当時ドイツからシュミット会社のロケット機「赤鬼号」が東京に着いて、研究所に安置されてあった。これは次の年の八月に、火星の近日点が来るので、そのときにシュミット博士は地勢上、いちばん都合のよい東京から火星旅行に出発しようというので持ってきたものであった。