輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はるかなたび
原民喜戦後全小説
原 民喜
線上閱讀原 民喜《原民喜戦後全小説(はるかなたび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 60,577 字 · 124 頁
その頃、長い間他郷に出ていた弟の修造が徴用のがれの為に、ここへ戻って来た。するとまた東京の下宿先を焼かれた甥の周一も、入営までの日を親許で過すために戻って来た。このもう殆ど一人前になりかかっている敬一の長男と、何時までたってものらくら者の叔父の修造とは、何となく話のうまが合うらしかった。……この頃になると、静三の気持もやはりぐらぐらと揺れ返っていた。ある晩も静三は拠りどころを失ったような気分で家を出ると、ふらふらと本家に立寄ってみた。敬一は嫂の疎開先に行って留守だったが、修造と周一は遮光された食堂で頻りに何か話合っていた。
「マルクスの資本論も疎開させておくといいよ、今に値うちが出る」修造がこう云うと、周一は大きく頷く。そんな本を兄の敬一が持っていたことも静三はもう忘れかけていたところだったが、
「そうさ、何でも彼でも疎開させておくに限る、戦争が済めばそれを又再分配さ」と、静三も傍から話に割込もうとした。しかし、どういうものか、この二人はいま何かもの狂おしい感情にとり憑かれて、頻りに戦争を呪っているのであった。ことに若い周一は忿懣のかぎりをこめて軍人を罵った。