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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
しかし伝説は興福寺の最も重大な仏像が問答師の作であることを要求するのである。それは興福寺の残存仏像中の最もすぐれたものが問答師の作でなくてはならないのと同様である。つまり問答師というのは、天平時代の興福寺の最もすぐれた彫刻家のことなのである。とすればこの彫刻家は当然西金堂の本尊を造った人である。光明后は亡き母に対する情熱のために西金堂の建立について特に熱心な注意を払われたに相違ない。だから伝説にあるように、みずから製作場に臨まれたというようなこともないとは限らない。そこでまたこの芸術家が光明后を見て創作欲を刺戟せられたという仮定も可能になる。当時三十二三歳ぐらいであった光明后は、観音像のモデルとしてもふさわしい。――かく考えれば、興福寺の伝説は一縷の生命を得て来るであろう。それらのことは少なくとも、「あり得た」ことである。「あった」か「なかった」かの問題よりも、「あり得た」か「あり得なかった」かの問題に興味を抱く人に対しては、これらのことも何ほどかの意味を持つに違いない。
しかし光明后を彫像のモデルに使うようなことが果して当時の社会において許されたであろうか。