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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
しかし天平の尼の品行が尼らしくなかったという確証はない。僧尼に対する訓令の多くは学業の弛廃を警むるにあった。たとえば「転経唱礼は規矩に従うべきであるに近ごろの僧尼は我流の調子を出す。これが習慣となってはよろしくない。以後は唐僧道栄・学問僧勝暁の式に則れ」(養老四年)というごときである。しかし大仏鋳造のころ、僧尼の激増した時期を境として、漸次、新しい気風が生まれ、一種のデカダンが発生するに至ったことも推測せられる。僧尼の淫犯を警むる訓令は延暦ごろから現われ始めた。弘仁九年の戒告のごときはきわめて猛烈なものである(日本逸史)。これは密教の山ごもりの意義とも関係があるであろう。とにかく天平中ごろの僧尼の気風と弘仁期のそれとの間には著しい相違があるのである。
弘仁期の僧尼の気風を知るには『日本霊異記』に越すものはない。その物語るところは多く天平の異聞であるが、文芸としては弘仁の特性を現わしている。そのなかから天平を透見するのはかなり困難である。しかし岡本寺の尼が観音を愛慕する情や、行基に追随した鯛女(富の尼寺上座の尼の娘)が蝦を助けるためにその童貞を犠牲にしようとした慈悲心などには、天平の尼の一面が現われているかも知れない。