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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
一巻などを書いた。鑑真弟子中の優秀な人であったに相違ない。しかし美術家として優れた法力をさしおいて、この人が本尊を造ったということには、何か理由がなくてはならぬ。思うに法力は乾漆像に慣れていなかったのであろう。丈六坐像を木で彫むのは困難であり、また乾漆は当時の流行であったために、本尊は乾漆ときまった。そうして乾漆像の工手は我が国にも少なくなかった。そこで思託の指揮のもとに製作が始められる。法力はそれを学んで、後に講堂の丈六釈迦像を造り得るに至った。かく想像することもできる。法力をインドと結びつけて考えるにもこの想像は都合がいい。
千手観音の作者についてはおもしろい伝説がある。『招提千歳記』によればそれは天人である。寺の西北二町、森樹欝々たる小丘に、七昼夜の間深い霧がかかって中が見えなかった。その間に天人がこの像を造り上げた。――『七大寺巡礼記』は化人の説をあげている。竹田佐古女が造ったというが、その佐古女は化人だ、というのである。いずれにしても時人を驚かせる出来事があったらしく思われる。あの数多い手を一つずつ作って行く仕事場の光景を想像すると、いろいろな伝説が発生しても無理はないと思う。